16Apr
モンテッソーリの文化教育は、地理学、科学、植物学、動物学、歴史、美術、音楽、平和教育と、取り扱う分野がかなり幅広いです。
「文化教育」について、”モンテッソーリ・デイケア”のHPに書かれてあることを読み、大変感銘を受けたのですが、全文紹介するのは長すぎるので、一部抜粋します。
モンテッソーリは、「文化的なテーマ」というものが、人類発達のための絶対不可欠な手法と考えています。
・・・(略)・・・モンテッソーリ博士の第一の目標は、「子供が”自分の時間・場所・文化に適応して、十分に発達した人となり、調和のとれた社会に参加する明日の市民となる”助けをするための教育」でした。
・・・(略)・・・人間の子供は他の動物よりはるかに長い期間、大人に依存しています。文化教育は、一致団結、多様性、相互関係の理解を子どもに与えます。
出典:http://montessoridaycare.ca
おうちモンテではちょっと文化教育に比重が偏ってるかな?大丈夫かな?と少し不安になることがありましたが、これを読んで何の問題もない!と安堵しました。
今回は、植物についてフォーカスしたいと思います。
先日、図書館で何気なく選んだ一冊「かたばみ」。そこから広がった学びについてシェアしたいと思います。
- 絵本からの学びと発見する喜び
- 植物の観察と探求
- 植物学から化学の世界へ
絵本からの学びと発見する喜び
モンテッソーリの文化教育の中には「botany」(植物学)があります。
ちょうど「植物学」について調べていた時に、あるサイトを偶然見つけたのですが、こんなことが書いてありました。
「モンテッソーリ教育」と聞くと、ついつい、創始者マリア・モンテッソーリが考案した教具や、指先を使う活動だけを思い浮かべてしまいませんか?
本来重要な役割を持っているのに、意外と見落とされがちな存在・・・それは「植物」。
マリア・モンテッソーリは、自然の素晴らしさに触れ、尊重することが、子どもの心の発達に深い影響を及ぼすと考えており、「植物の栽培」や「植物の観察」がとても重要だとしました。
出典:https://www.ideesmontessori.com/
アクティビティとしては、種から始まり、種に戻るまでのライフサイクルを学ぶことや、実際にその植物を育てたり、その植物を分解図でそれぞれの名称を覚えたり、というものが多いと思います。
今回子供たちとやってみたことは、五感をフルに使った体験。
毎週1度は図書館に行きますが、その時に最低1冊は植物に関する絵本を選ぶようにしています。
私の実家の家紋が「剣片喰」ということもあり、「かたばみ」と書かれた題名に目が留まって、つい手に取ってみました。(絵本のリンクは貼れなかったので、写真のみですが・・・。出版は福音館書店さんです。)
著者の多田多恵子さんは、小さな子供でも惹き込まれるような魅力ある文章をお書きになるので、娘も夢中になって読んでいました。
絵本を読んで、そういえば・・・と思ったこと。
「セント・パトリック・デー」の象徴ってクローバーっていうけど、ばっちりハートマーク三つの葉になってますし、携帯のクローバーの絵文字だってそう。
なぜ???
と、思って調べたら、セント・パトリック・デーの象徴は「シャムロック」。
シャムロックはアイルランドの国花で、クローバーとかカタバミとか、一つの茎から3つの葉が出てるものはなんでも「シャムロック」らしいです・・・。すごいアバウト~。
カタバミの形の絵柄でもクローバーを連想してしまうのは、そういう曖昧さからきてるのかもしれない・・・と腑に落ちたのでした。
しかし、カタバミはカタバミ科で、クローバーはマメ科。見た目は似てるけど、全然違う種だということも、絵本で知りました。
自然観察も大切ですが、こうして書物から正しい知識を得ることもすごく大切だな~と思いましたし、自分も学校で学べなかったことを、子供や絵本、モンテッソーリ教育を通して学べるのは幸せなことだなあと思います。
このことがあってから、最近は「似て非なるもの」にとても関心が強くなりました。たとえば「モクレンとコブシ」の違いや、「ツバキとサザンカ」の違いなど、今まで気にも留めなかったことに心が向くようになりました。
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植物の観察と探求
先日、高尾山に登ったのですが、その前の晩に「かたばみ」の絵本を読み聞かせました。
そして、「山に登った時に、”かたばみ”を一緒に探してみようね。」、と娘に言うと目を輝かせて「うん!」と答えました。
行きはリフトを使ったので、山道を下る時に、二人でずっと観察しました。
普通のかたばみは道端とか人が生活しているところに多いと書いてましたが、そのとおりで、まったく見かけませんでした。
しかし!大きなカタバミを発見しましたよ!
娘も「きゃ~~!!!あった!!!!」と叫んで駆け寄ります。
息子まで興味を示して探すようになりました。
葉の形はちょっと独特です。野生化したものなのか、なんなのか?ということが気になります。
帰ってから調べると、「ミヤマカタバミ」に似ている。
出典:https://ja.wikipedia.org
でも、葉の形が違う・・・。花も少し違う・・。
ということで、さらに調べると「カントウミヤマカタバミ」だということがわかりました。
街中で見るカタバミとは違います。「ミヤマカタバミ」は「ヤマカタバミ」ともいうようなので、山で野生化したカタバミということなのでしょう。
「カントウミヤマカタバミ」は「ミヤマカタバミ」の変種らしいのですが、気候とか地質とかが影響して変化したんだろうか?関東以外では他にどんなカタバミがあるんだろう?とか思いめぐらせました。
調べてみると、たくさんの種類があることがわかって驚きです。
花の形、葉の形の違いを念入りに観察して調べている自分がいて、今まで気にも留めなかったカタバミが、新しい存在として映るようになり、とても新鮮です。
こんな世界を子供たちは毎日経験しているんだなって思うと羨ましいと思いつつ、自分も体験できていることにちょっと感動しています。
植物学から化学の世界へ
さて、このカタバミには、酸が含まれているので、酢漿草とも呼ばれています。
食べたら酸っぱい味がするよ、と絵本にあったので、家に帰ったら実験したかったんですが、山で摘んだ葉の袋を娘が電車に忘れてきてしまい、ミヤマカタバミでは試すことが出来ませんでした。
それで、庭にあるはず!と二人で探したら、プランターの中に一株だけありました!
水で洗って、口の中で噛むと、ほんのり酸味が広がります。びっくりするほど酸っぱくはありません。
子供たちも噛んでみました。
「あ、ほんとだ。ちょっと酸っぱい!」
それから10円玉をその葉っぱでこすってみました。
葉が少なかったので、全体を綺麗にはできませんでしたが、葉でこすったところは輝いて、娘でもその違いを認識できました。
どうして、酸っぱいの?どうしてきれいになるの?
と、娘が矢継ぎ早に質問してきます。
彼女の心は植物学から化学の世界へと向かい始めました。
娘の心が、世界に対してどんどん開いていくのを目の当たりにして、時に受け止めたり、共に学んでみたり、一緒に成長していけることが私の楽しみになってきています。
その後、初めて行った公園で、娘が発見したらしく「これ、カタバミ!!」と持ってきました。
帰りにふとみると、片隅にはカタバミの群生が! こんな形状になるんだ~と、しげしげ見入ってしまいました。
道端で見かけるものよりも非常に大きいのは、土壌がいいから???なにか別の種類のカタバミ?とか私の疑問も尽きません。
息子もおおはしゃぎで、二人でたくさん摘んでいました。
別の日には、歯科の帰り道に息子がブロック塀の隅っこをみて、「あ!カタバミだ!!」と言ってしゃがみこみました。
「ねえ、この葉っぱ、閉じかけているよ。」と指さします。
絵本でも閉じてる絵があります。
タイミングよく、夕方から夜にかけて、葉を閉じていく姿を実際に見ることができてよかったです。
世界に存在するものすべてを知ることは無理だけれど、興味の対象が増えることによって世界が広がり、学ぶことの喜びや楽しさを知れば、自然と賢さも身につくものではないかと思います。
幼い時代の自然観察の喜びは、やがて成長するにつれて、「この地球を自分たちの手で守り、自分たちの子供たちへと継承していきたい」、という願いを持つようになり、世界の平和に貢献する人へと成長していくのではないか、と思っています。
まとめ
様々な著名人がモンテッソーリ教育を受けていて、昨今注目されてはいたものの、藤井聡太棋士がマスコミで騒がれるようになった頃から、日本でもモンテッソーリに関するいろんな教育媒体が登場するようになってきました。
若干複雑な気持ちにはなるものの、質の高い情報を得られる機会が増えたのも確か。
モンテッソーリ教育は、お受験のためでもなく、天才児を作るためでもなく、賢い子供を育てることが目標でもなく、人が人として豊かに成長・発達するために、モンテッソーリ女史が心をこめて築き上げたものです。
彼女が最終的に目指したゴールは子供たちが「幸せな大人」になることでした。
モンテッソーリ教育において「こうあるべき」、という原則はあるし、知識がなければ間違った方向に行くこともあるから、もっとモンテッソーリ教育について学び続ける必要はあります。しかし本質をしっかり掴んでいれば、あとは子供とのふれあいの中で、その時一緒に学べることを共に楽しめばいい、閃いたことをどんどんやっていけばいい、と思えるようになってきました。まだまだ未熟ですが、引き続きおうちモンテを続けていきたいと思います。
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