3Dec
紅葉の美しい時期になりました。
よく考えてみると、百人一首でも季節の和歌は、秋のものがダントツに多いですが、1000年以上経ち、ビルが立ち並ぶ時代になっても、やはり秋の美しさは今も続いている、ということに感動してしまいます。
この「色の移り行く様」が、夏から秋へ、秋から冬への変化を示している、という状態は、モンテッソーリ的な視点で見てみると、大自然の中で五感を使って感覚的なグレーディングを体感できる、ということでもありますね。
今年は子供たちと一緒に自然素材を使って感覚教育をする機会があったのでシェアしたいと思います。
- 始まりは「区別すること」から
- 梅の葉のグレーディング
- ミニトマトのグレーディング
- どんぐりのペアリング
始まりは「区別すること」から
モンテッソーリ教育で未就学児が学ぶ過程として、「日常生活の練習」から月齢があがると共に「感覚教育」が入ってくるのですが、子供は常に教具という具体物を使って抽象を学んでいきます。(モンテッソーリ教具を手作りで!100均で揃える方法!参照)
まず、「グレーディングとはなんぞや?」という方もいらっしゃるかもしれないので、感覚教具の大切な3つの要素について少し簡単に説明したいと思います。
わかりやすく説明してくださっているサイトがあったので抜粋して紹介しますね。
モンテッソーリ教具の使い方をひと言でいうなら、それは「区別すること」です。雑多な感覚や情報を整理するとき、「区別すること」から始めます。
「区別すること」をより具体的に説明するために、感覚教具の操作方法を説明します。 感覚教具には目的に沿った3つの操作方法があります。
① ペアリング(対にする)
② グレーディング(段階づける)
③ ソーティング(分類する)
★ペアリング(対にする)とは、同じ色のもの、同じ重さのもの、同じ大きさのものを見つけることです。★グレーディング(段階づける)とは、比較をして、大きい順、太い順、長い順、熱い順など、順番にしていくことです。
★ソーティング(分類する)とは、形は違うが同質(木製や金属製)のものなど、同じ性質のものをより分ける分類作業のことです。
ただ単に子どもの感覚器官を刺激するだけでなく、このようにペアリング、グレーディング、ソーティングという操作を含ませることにより、情報を整理・分析するちからを育み、子どもの「知性(考えるちから・判断するちから)」の基盤を築きます。感覚教育による知性の芽生えは、言語教育、算数教育、文化教育というより高度な学びへつながっていきます。
出典:http://clantete.com/preschool/program/tool.html
梅の葉のグレーディング
今は銀杏の鮮やかな黄色がまぶしいほどに美しいので、銀杏の葉でもグレーディングが楽しめるのですが、実際やってみると、赤茶まで変化する葉のほうがもっと色の幅が広いので、もっと楽しめると思いました。
庭の梅の木が落葉して、彩りどりの絨毯になっていたので、子供と「色のグレーディング」を意識して採集しました。
葉の大きさも出来るだけ揃える必要もあるので、厳密には要素としてペアリングも含まれていると思います。
色は違うけど、様々な植物の落葉の中から、梅の葉だけをピックアップする、という点ではソーティングの概念も入るのではないでしょうか。
自然素材のものの複雑で微妙な色の変化は、まだ3歳の娘には難しいというか、単純に拾うことが楽しい時期なので(というよりも、今この方にふさわしいのは色板の教具ですね!)、6歳の息子が挑戦しました。
最初に私が簡単な提示をして、それを参考に自分で集めて、それからグレーディングを始めました。
採集している時も、色のバランスを真剣に考えていました。
家に入って、テーブルで並べると、「あれ?これあんまりキレイじゃない・・・。」と言って、また庭に飛び出していったり。
たくさん落ちている葉っぱの中から、色が違う上に同じくらいの大きさのきれいめな葉をピックアップしていくというのは、なかなか難しい作業です。完璧ではないですが、頑張ったと思います。
ふさわしい配置にするために、ものすごいガン見しています(笑) どれを残して、どれを外すか・・・。ものすごく集中しています。
見つめているのは、黄色、緑、赤、茶色の4色が混ざり合っている、彼の中でのお気に入りの一枚。どこかに入れたくてたまらないのですが、どんなにキョロキョロしても、これは「ふさわしい配置どころがない」と判断して、最後は外していました。
私も素敵な一枚だと思っていたので、切ないだろうな~~と思いつつ、なにも口を挟まずに、ただ見守っていただけでした。
集中していると、ものすごく鼻息が荒くなるのが可愛くてたまりません(笑)
そして、最終形態!色の変化がわかりやすいように、白いテーブルに移動して撮影しました。
私が提示したのは、敢えて完成品じゃなくて、こういう風にやっていくんだよ、と、かなり端折ったバージョンを見せていたので、実際に息子が作って、出来上がるまで、実は彼の中で完全なイメージはできていませんでした。
すると、息子が自分の作品をマジマジと見つめて、「すごく綺麗!こんなにきれいなものになるって思わなかったよ!」って感動の声をあげたのです。
そうなんです。モンテッソーリでは、一連の動作を最初から最後まで提示してみせるものなのですが、この提示は意図的に端折ったんです。この感動を独り占めさせてあげたくて(笑)
季節の移り変わりを具体で表すと、こんな感じなんだ、と体感できた瞬間じゃないかと思います。
面白い、と思ったのは、幼稚園から帰ってきて、彼はすぐにテレビを見始めたんですが、庭に呼び出してこの遊びを始めたら、すっかりテレビのことは頭から消え去って、作品が出来上がってからも、寝るまでまったく見たがらずに絵を描いたり、折り紙を折ったりと、創作的な作業ばかりしていた、ということです。
そっちのスイッチが入っちゃったってことでしょうかね?(笑)
テレビからも学べることは多々ありますが、自分の中から湧いてくる創作意欲に勝るものはないですよね・・・!?
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ミニトマトのグレーディング
実は、自身のアメブロでも以前紹介したことがあるのですが、庭で熟れきれずに残ってしまった秋のミニトマトたちを摘み取って、窓辺に置いていたら、次々と追熟されていきました。
その変化をグレーディングしたら面白そうだと思い、息子にさせたことがあります。
<カラーグレーディング>
<サイズのグレーディング>
この大きさはどこに入るんだろう・・・?と迷っている様子。
でも、この体験の後で、紅葉のグレーディングをやったので、彼の興味はさらに膨らんだと思います。
どんぐりのペアリング
さて、娘はといいますと、先日幼稚園で遠足があり、落ち葉やどんぐりを拾ってきたので、それを使ってグレーディング出来ないかな?と、どんぐりをテーブルに置いて眺めていたら、娘がさっと手を出してきて遊び始めました。
まあ、いいやと他のことをしていたら、「ママ、見て~~。」と娘の声が。
振り向くと、ペアリングしてました!
まあ同じ大きさでペアになっていませんが(理由は後述にあり。)、ちゃんと対にしてあるので、一応ペアリングってことで(笑)
「これね、歯!」っていう言葉を聞いて、子供の発想力に感心しきり。偶然8個あったから、4つずつ対に出来たようですが、よく観察してるな~と思ったのは、サイズ。
本当にわずかな差しかないので、写真ではわかりにくいのですが、ちゃんと上の歯のほうが長めで大きめのどんぐり、下の歯のほうは短めのものを選んでるんですよ。
そこで私は、「これ、ワッハッハッ!って笑ってるみたいだね~。」と真似してみせました。
どんぐりの上下をくっつけて「イーッだ!」って真似したり。
娘もケタケタ笑いながら真似っこして楽しい時間になりました。
そのうち、コマのようにくるくる回して遊び始めました。上の子もこの時期はこんな風に遊んでいたなあと懐かしくなりました。
どんぐりについての記事もあるので興味のある方はどうぞ!(どんぐりを食べるのは動物だけ?秋のスーパーフードに注目!)
まとめ
今回、一番嬉しかったのは、子供が「自分の手で築き上げたことの先に、感動を発見した」、ということです。
こういうささやかなだけど、楽しかった小さな時間は、大人になると一粒の宝石のようにキラキラ輝く思い出になりますね。
子供たちは、遊びの中からたくさんのことを吸収していくんだなあって、いつも実感します。
モンテッソーリの感覚教具は、正確さと緻密さ、そして美しさで素晴らしいものですが、そこから発展させて、生活の中でその感覚を磨いていく、という作業も大切だなって改めて思いました。
いつの季節でも、どんな環境でも至るところに教材は転がっているものですが、特に秋は芸術的な感覚教育がしやすいですね。
また、子供が自分の力で応用して、新しいアートをみせてくれる日を楽しみにしています。
皆さんなら、どんな素材を使いますか・・・?
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